川本三郎氏に「ダスティン・ホフマンはタンタンを読んでいた」というタイトルの著書があります。
映画の中のトリビアを集めた本だったと記憶します。(←ちゃんと読んでない。スミマセン。)
映画「クレイマー、クレイマー」で出て行った妻に代わり子育てに奮闘するダスティン・ホフマンが
寝しなに息子に読んでやるのが有名な「タンタンの冒険」。
ほんのわずかなシーンですがタンタン好きなら、すぐにあっ!となる場面。
ルイ・マルの「好奇心」でも主人公の少年と同級生の会話に「タンタンもう読んだ?」
などと登場するのでヨーロッパではかなりポピュラーなコミック。
近年スピルバーグによって3Dアニメ化されましたがあれしか知らないという方はぜひ!
原作を読んでいただきたい。とにかく絵が素晴らしいし色もキレイです。
あとなんとなくおフランス製と思われがちですが、原作者のエルジェはベルギー人。
ベルギーにはタンタンの博物館もあるので一度行ってみたいものですね。
・・・じゃなくて今回はマーカーの話であった。
その「クレイマー、クレイマー」をBSで観ていて、私にもトリビアな発見があったのでした。
主人公のテッド・クレイマーの職業は広告代理店のアート・ディレクターらしいのですが、
そのオフィスを息子にお披露目している時、チラッと画材が映るんです。
そう、今ならさしずめデカいMacのモニターが一台で済むところを色とりどりの油性マーカー、
magic markerが何本も並んでいる。
それがこのspeedry社のmagic marker。
えーと、この映画はなにしろ1979年制作ですから今から35年前。
昔のデザイナーさん達はこういうのでカラーカンプ(製品の色付き完成図)を描いてたんですね。
それが今なお私が愛用するロングセラー商品である、となれば深イイ話なんでしょうが、
speedry社は1980年に倒産しているので、私が使い始めた頃はもう別会社に生産が移っていたようです。
ちなみに私が今使ってるのはこんな仕様。
なので正確には
「ダスティン・ホフマンは私の愛用するspeedryマーカーのオリジナルモデルを使ってた」
というところでしょうか。
ややこしいね、どーも。
ところで私が愛用する文具・画材は次々と生産中止、廃盤になる・・・
という恐ろしいジンクスがあるのでございます。
データ全盛の今、画材もプロ仕様のものほど厳しく淘汰される傾向にあり、油性マーカーもその例外ではなく。
speedry marker も色によっては製造中止が続々と出てきております。
油性マーカーのジュワッとしたにじみの美しさはなんともいえないものです。
かつてesselte社のマーカー用紙が日本での製造・販売を中止した時は海外旅行の際画材屋をまわって探した
ことを思い出しました。
そんな風にspeedry markerも生き続けてくれて、どっかで会えたらいいな〜。
・・・ってまだ今のとこは入手可能ですから、美色の油性マーカーに興味のある方はぜひお求めになってみてくださいね。